塔本(とうもと)シスコは、53歳から91歳で亡くなる直前まで驚異のスピードで次から次に大作を描き、キャンバスだけでは飽き足らず、瓶や段ボール、空き箱やしゃもじにまで絵を描き続けました。情熱が溢れて止まらなかった様子が伝わってきます。
アトリエは息子夫婦と同居していた団地の四畳半の自室。
枯れることのない才能をもちつつ、草花や小さな生き物を大切に育て、周囲の人達や新しく出会った人達と共に楽しく過ごし、そしてその思い出をすぐに作品にしています。
有名な「天才」たちが、往々にして「人嫌い」だったり「奇人」だったりして、寂しく世を去って行ったのに比べると、 なんと幸せな晩年だったのでしょう。
緻密な筆致と大胆な色使い、立体を平面的に描いた構図、時には上下どちら向きに展示してもいいと本人が言う作品もあるのに、どれも全て美しく統一され調和しています。
絶妙なテクニックというか、これはもう「作者の愛の成せる技」なのでしょう。
「金色の絵の具を使っているの?」と見まがうほどキラキラしています。本で見た写真より実物は遥かに感動的でした。
上の絵の空いっぱいのグルグル(光?)で、「あー、シスコさんにはこんなふうに見えるんやねぇ、きっと。うん、分かるよ、分かる」と思っていたら、「私にはこがん(このように)見えるったい」と返されました(笑)
世界の名画100選…とかに出てきそうな大作「秋の庭」
日本の秋を描いているのに、どこか南国を思わせる。(熊本の人だから?)そして、細部を注意して見ると、やはり懐かしい日本の秋の風情。この絶妙なバランス感覚。
写真撮影OKの太っ腹な美術展をありがとう!私も90歳過ぎたら撮影OKで展示会するね(何の?)
シスコが「(絵を)かかずにはいられない!」と独自のパラダイスを展開したことにあやかって、「ブログを書かずにはいられない!」ほどの楽しいことをいっぱいしようっと。
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